走行距離が少なければ安心?年間3,000kmしか乗らない車で傷みやすい場所

中古車を選ぶ時、多くの人が最初に確認するのが走行距離です。

同じ年式なら、10万km走っている車より3万kmしか走っていない車の方が状態は良さそうに見えます。

年間走行距離が3,000km程度と聞けば、

「ほとんど乗っていないから、まだ新車に近い」

「走行距離が少ないから、部品も傷んでいないはず」

と思う人もいるでしょう。

確かに、走行距離が少なければ、エンジンやミッション、タイヤ、ブレーキなどが使われた回数も少なくなります。

しかし、車の劣化は走行距離だけで進むものではありません。

時間が経過するだけで傷む部品もあれば、車を動かさないことによって状態が悪くなる部分もあります。

特に年間3,000kmしか走らず、1回の走行が数km程度という車は注意が必要です。

走行距離が少ない車と、状態のよい車は必ずしも同じではありません。

年間3,000kmでも使い方によって状態は違う

最初に整理しておきたいのは、年間3,000kmという数字だけで車の状態を判断できないことです。

月に数回、高速道路を使って一度に100km程度走る車。

毎日、近所のスーパーまで片道2kmだけ走る車。

どちらも年間走行距離は同じくらいになるかもしれません。

しかし、車にとっての使われ方はまったく違います。

一度エンジンをかけたら十分に暖まり、ある程度の時間を走る車は、エンジンオイルや排気系統の温度も上がります。

一方、エンジンが冷えた状態で始動し、暖まりきる前に停止する使い方を繰り返す車は、走行距離が少なくても負担が軽いとは限りません。

重要なのは年間走行距離だけでなく、1回の走行距離と使用頻度です。

短距離走行ではエンジンが暖まりきらない

エンジンは始動直後から完全に理想的な状態で動いているわけではありません。

冷えている時は、エンジン内部の金属部品やエンジンオイルも適温になっていません。

燃料も、エンジンが安定して動くように多めに噴射されることがあります。

そのまま数kmだけ走ってエンジンを止める使い方を繰り返すと、エンジン内部が十分に暖まる時間がありません。

エンジンオイルには、燃焼によって発生した水分や、わずかな燃料が混ざることがあります。

ある程度の時間を走行して油温が上がれば、水分は蒸発しやすくなります。

しかし短距離走行ばかりだと、水分が抜けきらないまま残る可能性があります。

オイルフィラーキャップを外した時、裏側に白っぽい乳化物が付着している車があります。

すべてが故障を意味するわけではありませんが、短距離走行が多く、エンジン内部の水分が抜けにくい車で見かけることがあります。

「年間3,000kmだから、オイル交換は数年に一度でいい」

とは考えない方がいいでしょう。

走行距離が少なくても、使用状況と経過時間に応じた交換が必要です。

バッテリーは走らない車ほど不利になる

車のバッテリーは、エンジンを始動する時に大きな電力を使います。

始動後はオルタネーターが発電し、使用した電力を補います。

ところが、エンジンをかけて数分走っただけで停止すると、始動時に使った電力を十分に戻せないことがあります。

特に、

・短距離走行が多い

・夜間にライトを使う

・エアコンやデフロスターを頻繁に使う

・電動スライドドアを何度も動かす

・駐車監視機能付きのドライブレコーダーを使っている

といった車は、走行距離が少なくてもバッテリーへの負担が増えます。

週末しか乗らない車では、駐車中にも時計、セキュリティ、スマートキーの受信機などが少しずつ電気を使っています。

走らない期間が長ければ、充電される機会も減ります。

走行距離が少ないからバッテリーが長持ちするとは限りません。

むしろ、毎日ある程度走る車より早く弱ることもあります。自分で走らないときも充電する人は大丈夫ですけどね。

乗らない車には「維持充電」という方法もある

年間走行距離が少なく、短距離走行が中心の車では、エンジンを始動するときに使った電力を、走行中に十分取り戻せないことがあります。

とくに週末しか乗らない車や、買い物などの短距離移動ばかりに使う車は、バッテリーが少しずつ弱っていきます。

こうした使い方をしている車には、維持充電に対応した全自動バッテリー充電器を使う方法もあります。

例えばセルスターのDRC-300は、軽自動車や小型車のバッテリーに対応した充電器です。バッテリーを車から取り外さずに充電でき、長期間乗らない車のバッテリー状態を維持する機能も備えています。

毎日乗る車には必要性を感じにくいかもしれません。しかし、年間3,000km程度しか走らない車では、突然のバッテリー上がりを防ぐための選択肢になります。

ただし、使用前には車両とバッテリーの種類、容量への適合を必ず確認してください。また、屋外で使用する場合は電源や設置環境にも注意が必要です。

セルスター DRC-300の詳細はこちら

ブレーキは使わなくても錆びる

ブレーキパッドは、ブレーキを使うことで摩耗します。

そのため、走行距離が少ない車なら、ブレーキパッドの残量は多く残っていることがあります。

しかし、残量が多ければブレーキ全体が良好とは限りません。

一般的なディスクブレーキに使われているブレーキローターは、雨や湿気によって表面に錆が発生します。

毎日走る車なら、軽い錆はブレーキを使うことで削り落とされます。

ところが、長期間動かさない車では錆が広がり、ブレーキパッドが当たる面に凹凸が残ることがあります。

さらに、ブレーキキャリパーのスライド部分やピストンが固着すると、パッドが片側だけ減ったり、ブレーキが引きずったりする原因になります。

後輪のドラムブレーキやパーキングブレーキも、使用状況や保管環境によって固着することがあります。

年間3,000kmしか走っていないのに、ブレーキローターやキャリパーの修理が必要になるケースがあるのはこのためです。

タイヤは溝より年数を見る

走行距離が少ない車では、タイヤの溝がほとんど減っていないことがあります。

溝がたくさん残っていると、まだ使えると思ってしまいます。

しかし、タイヤは走らなくても古くなります。

ゴムは紫外線、熱、雨、酸素などの影響を受け、時間の経過とともに硬くなります。

タイヤ側面に細かなひび割れが出たり、接地面の溝の中に亀裂が入ったりすることもあります。

屋外に置かれ、いつも同じ場所へ日光が当たる車では、片側だけ劣化が進むこともあります。

また、長期間同じ位置で駐車していると、タイヤの一部分へ荷重がかかり続けます。

走り始めに振動が出る場合は、タイヤが一時的に変形している可能性もあります。

タイヤを判断する時は、溝の深さだけでなく、製造時期、ひび割れ、ゴムの硬さ、変形なども確認する必要があります。

マフラーの内部に水がたまりやすい

ガソリンや軽油が燃焼すると、排気ガスと一緒に水分も発生します。

エンジンをかけた直後、マフラーから水が出てくることがありますが、それ自体は珍しい現象ではありません。

ある程度の時間を走行し、マフラー全体の温度が上がれば、内部の水分は蒸発しやすくなります。

しかし、短距離走行ばかりだと、マフラーが十分に熱くなる前にエンジンを止めることになります。

内部に水分が残りやすくなり、腐食を進める一因になることがあります。

外側がきれいに見えても、内部から錆が進んで穴が開くケースがあります。

マフラーから大きな音が出るようになって初めて、腐食へ気付くこともあります。

近所しか走らない車ほど、たまにはエンジンと排気系統が十分に暖まる距離を走ることが大切です。

ゴムや樹脂部品は走行距離に関係なく古くなる

車には多くのゴム部品や樹脂部品が使われています。

ホース、シール、ブーツ、ブッシュ、ワイパーゴム、ドア周辺のウェザーストリップなどです。

これらは走行距離だけでなく、熱、紫外線、湿気、経過年数によって劣化します。

走行距離が3万kmしかない車でも、登録から15年経過していれば、ゴムや樹脂部品は15年分古くなっています。

エンジンルームのホースが硬くなっている。

ドライブシャフトやボールジョイントのブーツにひびがある。

足回りのブッシュが割れている。

ドアのゴムが縮み、雨水や風が入りやすくなっている。

このような劣化は、走行距離が少なくても発生します。

「まだ3万kmだから新品に近い」と考えるのではなく、年式に応じた点検が必要です。

エアコンも使わなければ安心ではない

エアコンは夏だけ使うという人もいます。

しかし、長期間作動させないことが、必ずしもエアコンにとってよいとは限りません。

エアコン内部には冷媒と一緒にオイルが循環しています。

定期的に作動させることで、コンプレッサーや配管内部をオイルが循環します。

冬でも曇り止めとしてエアコンを使用すれば、除湿効果も得られます。

まったく使わない期間が長い車は、定期的に作動状態を確認した方が安心です。

また、走行距離が少なくてもエアコンフィルターにはほこりや落ち葉、虫などが入り込みます。

屋外保管で木の近くに駐車している車では、走っていなくても吸気口周辺へ汚れがたまります。

距離だけで交換時期を判断しない方がよい部品の一つです。

ボディや室内にも保管環境の影響が出る

車をあまり動かさない場合、どこへ保管しているかも重要です。

湿気の多い場所。

草や土の上。

風通しの悪い車庫。

木の下。

日当たりが強い屋外。

こうした場所では、走行距離とは関係なく車が傷むことがあります。

車体下部に湿気がこもれば錆が進みやすくなります。

落ち葉がカウルトップや排水口に詰まれば、雨水が正常に流れなくなることがあります。

室内に湿気がこもると、カビや臭いの原因になります。

小動物がエンジンルームやエアコンの吸気口へ入り込むこともあります。

あまり乗らない車こそ、定期的にボンネットを開け、車内を換気し、雨漏りや小動物の痕跡がないか確認した方がいいでしょう。

たまに長く走ればすべて解決するわけではない

短距離走行が多い車には、時々ある程度まとまった距離を走ることが有効な場合があります。

エンジンや排気系統が暖まり、バッテリーを充電する時間も確保できます。

ただし、長期間点検されていない車を、いきなり高速道路で長距離走行させるのはおすすめできません。

タイヤの空気圧。

エンジンオイルと冷却水。

ベルトやホース。

バッテリーの状態。

警告灯の有無。

これらを確認してから走ることが大切です。

車を長持ちさせるための長距離走行で、途中に故障してしまっては意味がありません。

走行距離が少ない車ほど時間基準で点検する

年間3,000kmしか走らない車は、距離による交換時期になかなか到達しません。

そのため、

「まだ交換距離になっていない」

という理由で整備が先送りされやすくなります。

しかし、車には距離ではなく時間で管理した方がよいものがあります。

エンジンオイルや冷却水。

タイヤやゴム部品。

バッテリー。

ワイパー。

ブレーキフルード。

エアコンフィルター。

具体的な交換時期は車種や使用環境によって異なるため、まずは取扱説明書やメンテナンスノートの指定を確認してください。

短距離走行が多い車は、一般的な使い方より厳しい条件に該当する場合もあります。

自分の車の使い方を整備工場へ伝えたうえで、点検時期を相談するのが確実です。

低走行車で大切なのは「距離」より「使われ方」

走行距離が少ないことは、中古車や長期保有車を判断するうえで一つの長所です。

しかし、それだけで状態がよいと決めることはできません。

年間3,000kmでも、月に数回まとまった距離を走る車と、毎日数kmだけ走る車では傷み方が違います。

さらに、年式や保管環境、過去の整備履歴によっても状態は変わります。

低走行車で確認したいのは、

・エンジンが十分に暖まる使い方をしているか

・バッテリーが充電される距離を走っているか

・ブレーキに錆や固着がないか

・タイヤが年数で劣化していないか

・マフラー内部の腐食が進んでいないか

・ゴムや樹脂部品が硬化していないか

・保管場所に湿気や落ち葉がたまりやすくないか

という点です。

車は走りすぎても傷みますが、動かさなければ新品のまま保存されるわけでもありません。

走行距離が少ない車ほど、距離ではなく経過時間と使われ方を基準に点検する。

それが、年間3,000kmしか乗らない車を長く安心して使うためのポイントです。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする