車検に合格した車をディーラーへ持っていったところ、「この状態では入庫できません」と作業を断られた。

そんな話を聞くことがあります。
ユーザーからすれば、車検に通っているのだから違法改造車ではない。それなのに、なぜディーラーは入庫を拒否するのかと疑問に思うでしょう。
しかし、車検に通ることと、すべての整備工場が作業を引き受けることは、同じ意味ではありません。
目次
車検に通った車でも断られることがある
車検では、その時点で自動車が保安基準に適合しているかを確認します。

灯火類、排気ガス、ブレーキ、タイヤ、車体寸法など、決められた項目を検査し、基準を満たしていれば車検に合格します。
一方、ディーラーや整備工場では、保安基準だけでなく、会社や店舗が定めた独自の入庫基準を設けていることがあります。
そのため、ユーザー車検や別の整備工場で車検に通った車でも、そのまま受け入れてもらえるとは限りません。
よく問題になりやすいのが、社外ホイール、タイヤのはみ出し、車高、マフラー、ライト、フィルムなどです。
ユーザーは「前回の車検で大丈夫だった」と主張します。しかし、受付をする側は、その言葉だけで適合していると判断できません。
グレーな車ほど判断が難しい
明らかに基準へ適合している純正状態の車なら、判断に迷うことはほとんどありません。

難しいのは、見る角度や測定方法によって判断が分かれそうな状態です。
例えばタイヤやホイールがフェンダーぎりぎりまで出ている車です。
ユーザーは「はみ出していない」と考えていても、店舗側は入庫した時点で正確な測定ができるとは限りません。
車高やマフラー音量、灯火類についても同様です。
社外部品に保安基準適合品と表示されていても、その取り付け方や組み合わせによっては適合しない可能性があります。部品単体が適合品でも、完成した車両が必ず基準を満たすとは限らないのです。
判断を誤って不適切な状態の車を整備したり、そのまま出庫させたりすれば、整備事業者側にも大きな問題が生じます。
そのため判断が微妙な車については、「大丈夫だろう」で受け入れるのではなく、安全側に判断して入庫を断る店舗があります。
ディーラーはメーカーの看板を背負っている
ディーラーは一般的な整備工場であると同時に、自動車メーカーの看板を掲げています。

法的な基準だけでなく、メーカーや販売会社が定めたルール、作業者の安全、設備を傷める可能性なども考えて入庫を判断します。
極端に車高を下げた車では、リフトや検査ラインへ乗せられないことがあります。
大きなエアロパーツが付いていれば、リフトアップした際に破損させるかもしれません。特殊な配線加工がされていれば、故障診断中に別の不具合が起きる可能性もあります。
つまり入庫拒否は、必ずしも「違法改造車だから」という理由だけではありません。
保安基準への適合をその場で確認できない、設備上安全に作業できない、車両を破損させる危険があるといった理由でも断られる可能性があります。
前の店で車検に通ったという説明だけでは足りない
実際の現場では、

「このまま車検に通った」
「前のディーラーでは何も言われなかった」
「車検対応部品だと書いてあった」
と説明されることがあります。
しかし、車検に通った当時と現在で、車の状態が同じとは限りません。
車検後に部品を交換しているかもしれませんし、タイヤの銘柄やホイールサイズが変わっている可能性もあります。
また、前の店と現在の店で入庫基準が同じとは限りません。
「車検に合格した実績がある」という情報は参考にはなりますが、現在の状態が適法であることを完全に証明するものではないのです。
断られたら、まず理由を確認する
入庫を断られた場合、最初に確認したいのは具体的な理由です。

単に「改造車だから駄目」と言われたのか、タイヤ、車高、マフラーなど特定の部分が問題なのかによって対応が変わります。
問題となる部品が特定できれば、純正へ戻すことで入庫できる場合があります。
購入した社外部品の証明書や取扱説明書があるなら、それも用意してください。ただし、証明書があれば必ず入庫できるわけではありません。最終的な受け入れ判断は店舗によって異なります。
リコールや保証修理を受けたいのに入庫を断られた場合は、どこを純正状態へ戻せば作業可能なのかを確認します。説明に納得できない場合は、メーカーのお客様相談窓口や別の販売店へ相談する方法もあります。
改造する前に整備先まで考える
車を自分好みに変更すること自体が、すべて悪いわけではありません。

保安基準に適合した部品を正しく取り付け、必要な手続きを行って楽しんでいる人も大勢います。
ただし、車検に通るかどうかだけでなく、その後どこで点検や修理を受けるのかまで考えておく必要があります。
今後もディーラーで整備や保証修理を受けたいなら、部品を取り付ける前に入庫可能か確認するのが確実です。
「車検に通ったから、どこの工場でも問題ない」とは限りません。
車検の保安基準と、整備工場の入庫基準は別のものです。
改造後に初めて断られて困る前に、車を診てもらう店のルールまで確認しておくことが大切です。
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整備士として働いてきた約25年間の体験や、チームMHOを始めてから現在に至るまでの出来事を、noteで少しずつ書き始めました。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。