走ってるとエアコン効くけど、止まってると効かなくなる車は危険!オーバーヒートの可能性

「エアコンが効かなくなるんです」

セレナに乗っているお客さんから、こんな相談を受けました。

症状を聞いてみると、ちょっと変わっています。

走り始めはエアコンが普通に効く。

ところが、しばらく走っていると、いつの間にか冷たい風が出なくなる。

特に信号待ちなどで停車していると、エアコンが効かなくなるということです。

「エアコンガスが抜けているのかな?」

最初はそんな可能性も考えます。

ところが、点検してみるとガス量には問題ありません。

実際に試運転してみても、走っている間はエアコンがしっかり効いています。

冷たい風が出ていて快適です。

ところがこの日はものすごく暑い日。

エンジンルームを開けた状態でエアコンを作動させながら、しばらく様子を見ていると……

「あれ?」

さっきまで効いていたエアコンが、効かなくなりました。

これは何かありそうです。

特にエアコンシステムに問題のない車は高機能のエアコン添加剤を入れると、効きがより強くなります。おすすめはワコーズのものです。


エアコンが効かなくなる原因は「圧力の上がりすぎ」

エアコンの状態を確認していくと、どうやら冷媒の圧力が上がりすぎて、コンプレッサーが保護のため停止しているようです。

では、なぜ圧力が上がりすぎるのか?

ここで重要になるのがコンデンサーです。

エアコンの冷媒を冷やすための部品ですね。

走行中であれば、車が前に進むことで走行風がコンデンサーに当たります。

そのため、エアコンを使っていても熱を外へ逃がしやすい。

ところが信号待ちなどで車が止まると、当然ながら走行風はなくなります。

そこで必要になるのが……

電動ファンです。


セレナには電動ファンが2つ付いていました

このセレナをエンジンルームから確認すると、電動ファンが2つ付いています。

エアコンをONにして確認してみると……

運転席側のファンは回っています。

ところが、

助手席側のファンが回っていません。

エアコンを作動させた状態では、コンデンサーを冷却するためにファンが作動する必要があります。

そこで、助手席側の電動ファンをさらに調べていきます。

まずファンにつながっているカプラーを点検。

電気が来ているか確認すると……

ちゃんと電気が来ています。

「じゃあ、モーター側かな?」

そこで簡易的に確認するため、それぞれの電動ファンのカプラーを差し替えてみました。

すると、運転席側のファンはエアコンONでちゃんと回ります。

一方、

助手席側のファンは、何をしても回りません。

最後に電動ファンモーターへ直接12Vを入れて確認。

それでも……

回りません。

ここまで確認すれば、原因はほぼ確定です。


コンデンサーの電動ファンモーターが故障していました

原因は、

コンデンサーの電動ファンモーター不良。

部品代

26,400円。

新品の電動ファンモーターを取り付け、カプラーを接続して確認すると……

当然ですが、元気よく回ります。

これで停車中でもコンデンサーをしっかり冷却できるようになりました。

その結果、冷媒の圧力が異常に上昇することもなくなり、信号待ちで停車していてもエアコンが効くようになりました。


なぜ「走っているときだけエアコンが効く」のか?

今回の症状は、非常に分かりやすいパターンでした。

走行中

車が走る

走行風がコンデンサーに当たる

コンデンサーを冷却できる

冷媒の圧力が異常に上がらない

エアコンが効く

ところが……

信号待ち・停車中

車が止まる

走行風がなくなる

本来なら電動ファンが回ってコンデンサーを冷却する

しかしファンモーターが故障していて回らない

コンデンサーを冷却できない

冷媒の圧力が上昇する

保護のためコンプレッサーが停止する

エアコンが効かなくなる

という流れです。

だから、

「走っているとエアコンが効くのに、信号待ちになると効かなくなる」

という症状が出ていたわけです。


実はエアコンだけの問題ではありません

今回のセレナは電動ファンが2つ付いていて、片方が故障していても、もう片方が作動していました。

そのため、今回の故障ではエアコンが効かなくなるという症状が中心でした。

ただし、ここで注意してほしいことがあります。

電動ファンが1つしか付いていない車の場合です。

車種によって冷却ファンの構造や制御方法は違いますが、ラジエターとエアコンのコンデンサーを共通の電動ファンで冷却している車もあります。

このタイプで電動ファンモーターが故障すると、

「エアコンが効かない」

だけでは済まない可能性があります。


電動ファンが止まるとオーバーヒートすることもある

走行中は車が動いているので、走行風がラジエターに当たります。

そのため、電動ファンが故障していても、しばらくは水温が問題なく保たれることがあります。

ところが信号待ち。

車が止まる。

走行風がなくなる。

本来なら電動ファンが回ってラジエターを冷却するところですが……

ファンが故障していて回らない。

すると冷却水の温度がどんどん上昇してしまいます。

場合によっては、

オーバーヒートにつながります。

つまり、

「走っているときは大丈夫だから、まだいいか」

ではありません。

むしろ、

「走っていると大丈夫なのに、停車するとエアコンが効かなくなる」

という症状は、電動ファンの不具合を疑うきっかけになります。


「エアコンが効かない」からといってガスとは限らない

エアコンが効かなくなると、

「エアコンガスが減ったのかな?」

と思う人も多いと思います。

もちろんガス不足もエアコン不良の原因になります。

しかし今回のように、

走っていると効く。
信号待ちで効かなくなる。

という症状なら、単純なガス不足だけではなく、コンデンサーを冷却する電動ファンが正常に作動しているかも確認する必要があります。

特に真夏の暑い日に症状が出やすい場合は要注意です。


まとめ

今回のセレナは、コンデンサーの電動ファンモーターが故障していました。

走行中は走行風によってコンデンサーを冷却できるためエアコンが効く。

しかし停車すると走行風がなくなり、故障している電動ファンでは冷却できない。

その結果、エアコンの圧力が上がりすぎてコンプレッサーが停止し、「信号待ちになるとエアコンが効かない」という症状になっていました。

そして、ここは覚えておいてほしいところです。

電動ファンの故障は、エアコンだけの問題とは限りません。

車種によってはラジエターの冷却にも電動ファンを使用しているため、故障したまま乗り続けると、最悪の場合はオーバーヒートにつながります。

「走っているとエアコンが効くけど、止まると効かない」

そんな症状が出たら、

エアコンガスだけでなく、電動ファンもしっかり点検する。

これが大切です。エアコンのスイッチを入れたらラジエターの電動ファンが回ることを必ず確認してください。

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