赤いオイル警告灯が点灯!整備工場まであと3kmでも走っては危険な理由

走行中、メーターの中に赤いオイルのマークが点灯した。

しかし、エンジンから大きな音は出ていない。

整備工場までは、あと3km。

「これくらいなら、そのまま走って持っていけるだろう」

そう考えてしまうかもしれません。

しかし、赤いオイル警告灯が走行中に点灯した場合、基本的にはそのまま走ってはいけません。

整備工場まで3kmでも、自宅まであと5分でも同じです。

この警告灯は、単にエンジンオイルの交換時期を知らせているものではありません。

エンジン内部へオイルを送る圧力、つまり油圧に異常が発生している可能性を知らせています。

そのまま走り続けると、エンジンが焼き付く恐れがあります。

赤いオイル警告灯は交換時期のお知らせではない

オイルの形をした赤い警告灯を見て、

「そろそろオイル交換をしてください、という意味だろう」

と考える人がいます。

しかし、多くの車に装備されている赤いオイル警告灯は、オイル交換時期を知らせるものではありません。

エンジンオイルの圧力が規定値より低くなったことを知らせる油圧警告灯です。

オイル交換時期のお知らせは、スパナのマークやメンテナンスメッセージ、走行距離による表示など、別の方法で表示される車が多くなっています。

油圧警告灯が見ているのは、基本的にオイルの汚れや交換時期ではなく、エンジン内部へオイルを送れているかどうかです。

エンジンオイルには、内部の金属部品を潤滑する重要な役割があります。

クランクシャフト、カムシャフト、ピストン周辺、タイミングチェーン、ターボチャージャーなど、エンジン内部では多くの部品が高速で動いています。

そこへオイルが正しく送られなくなると、金属同士が十分に潤滑されない状態になります。

この状態でエンジンを回し続ければ、摩耗や異音だけでは済まず、最終的にエンジンが焼き付く可能性があります。

JAFも、油圧警告灯が点灯または点滅した場合は、すぐにエンジンを停止するよう案内しています。

参考:JAF「油圧警告灯が点灯・点滅している場合の原因と対処方法」

オイルが入っていても点灯することがある

赤いオイル警告灯が点灯したと聞くと、

「エンジンオイルが減っただけでしょう?」

と思うかもしれません。

確かに、オイル量が大きく減ると油圧を正常に保てなくなり、警告灯が点灯することがあります。

しかし、原因はオイル量の不足だけではありません。

考えられる原因には、次のようなものがあります。

・オイル漏れによる油量不足

・オイル消費による油量不足

・オイルポンプの故障

・オイルストレーナーの詰まり

・エンジン内部のオイル通路の詰まり

・不適切な粘度のオイル

・オイルフィルター周辺の異常

・油圧を検出するスイッチやセンサーの故障

・エンジン内部の摩耗

つまり、オイルレベルゲージを確認して規定量が入っていたとしても、安心はできません。

オイルが入っていることと、エンジン内部へ適正な圧力で循環していることは別の話だからです。

油量が正常なのに警告灯が点灯している場合、オイルポンプや油圧系統に異常が起きている可能性もあります。

その状態で、

「オイルは入っているから大丈夫」

と走り続けるのは危険です。

わずか3kmでもエンジンを壊す可能性がある

整備工場まであと3km。

普通に走れば数分で到着します。

しかし、油圧がほとんど発生していない状態では、その数分が致命的になる可能性があります。

エンジン内部では、1分間に数千回転という速さで部品が動いています。

仮に2000回転で5分間走れば、単純計算でクランクシャフトは1万回転します。

油圧が不足したまま、それだけ金属部品を動かすことになります。

最初は普通に走れていたのに、途中からカタカタ、ガラガラという音が出る。

加速しなくなる。

エンジンが停止する。

再始動できなくなる。

分解してみたら、内部が焼き付いていた。

こうなれば、オイル漏れの修理やセンサー交換だけでは済みません。

エンジンの分解修理や載せ替えが必要になり、修理費が数十万円規模になる可能性もあります。

「あと少しだから走った」という判断によって、修理内容が大きく変わってしまうのです。

赤い警告灯が点灯したときの対処

走行中に赤いオイル警告灯が点灯したら、まず周囲の安全を確認します。

急ブレーキをかけたり、交通量の多い場所へ突然停止したりしてはいけません。

ハザードランプを点灯させ、安全な場所へ停車してください。

安全な場所へ移動できたら、エンジンを停止します。

自分で確認できるのであれば、平らな場所でエンジンを止め、数分待ってからオイルレベルゲージで油量を確認します。

ただし、熱くなっているエンジン周辺には注意が必要です。

オイル量が下限を下回っていた場合は、オイル漏れやオイル消費が考えられます。

周囲を見て、車の下へ大量のオイルが漏れている場合は、補充して走ろうとしてはいけません。補充しても再び流れ出す可能性があります。

また、どの種類のオイルを入れればよいか分からない場合も、適当なオイルを追加するのではなく、説明書を読んだ方がいいです。

一部の車種の取扱説明書では、油量を確認して必要量を補給し、再始動後に警告灯が消えれば運転を再開できると案内されています。

例えばHondaの一部車種では、安全な場所へ停車してエンジンを停止し、オイル量を確認・補給した後、再始動して10秒以内に警告灯が消えるかを確認する手順が示されています。

ただし、対処方法は車種によって異なります。

参考:Honda CR-V取扱説明書「油圧警告灯が点灯した」

大切なのは、警告灯が点いたまま自己判断で整備工場まで走らないことです。

再始動後も消えない場合や、エンジンから異音が出ている場合は、すぐにエンジンを停止して搬送を依頼してください。

点灯したり消えたりする場合も要注意

油圧警告灯がずっと点灯するのではなく、時々点いたり消えたりすることがあります。

例えば、

・信号待ちのアイドリング中だけ点灯する

・エンジン回転を上げると消える

・カーブを曲がったときだけ点灯する

・急ブレーキをかけたときに点灯する

・エンジンが温まると点灯する

このような症状です。

カーブや急ブレーキで点灯する場合、オイル量が少なくなり、オイルパンの中でオイルが偏っている可能性があります。

アイドリング時だけ点灯し、回転を上げると消える場合は、低回転時に十分な油圧を確保できていない可能性があります。

エンジンが温まった後に点灯する場合は、温度上昇によってオイルが柔らかくなったときに油圧が保てなくなっているケースも考えられます。

一度消えたから直ったわけではありません。

警告灯が一瞬でも走行中に点灯したのであれば、油量と油圧系統の点検が必要です。

始動前に点灯するのは正常な場合がある

ここで間違えてはいけないのが、エンジン始動前の点灯です。

多くの車では、エンジンスイッチをONにすると、メーター内の警告灯が一斉に点灯します。

この時点ではエンジンが止まっているため、オイルポンプも動いておらず、油圧は発生していません。

そのため油圧警告灯が点灯するのは正常です。

エンジンが始動して油圧が発生すると、警告灯は消灯します。

問題なのは、

・エンジン始動後も消えない

・走行中に点灯した

・走行中に点滅した

・消灯したり点灯したりを繰り返す

といったケースです。

始動前の点灯と走行中の点灯を混同しないことが重要です。

オイル交換直後に点灯した場合

オイル交換をした直後に油圧警告灯が点灯した場合は、作業に関係する問題も含めて確認が必要です。

オイル量が不足している。

ドレンボルトやオイルフィルター周辺から漏れている。

指定と大きく異なるオイルが入っている。

オイルフィルターの取り付けに問題がある。

このような可能性があります。

オイル交換直後だからといって、必ず作業ミスとは限りません。油圧スイッチやオイルポンプが偶然故障することもあります。

しかし、交換直後に点灯したのであれば、そのまま走らず、作業を行った整備工場へすぐに連絡するべきです。

いつ、どのような状況で点灯したのか。

エンジンから異音が出ているか。

車の下にオイルが漏れていないか。

これらを伝えると診断の助けになります。

赤い警告灯は「相談しながら走る」ものではない

車の警告灯には、さまざまな種類があります。

黄色やオレンジ色は、異常があるため早めの点検を促すものが中心です。

一方、赤色の警告灯は、重大な異常や安全に関係する問題を知らせていることが多くなります。

もちろん、赤い警告灯だから何でもその場で急停止すればよいわけではありません。道路上では周囲の安全を確保することが最優先です。

しかし、安全な場所まで移動した後も、

「整備工場へ電話しながら走って行きます」

「家まで近いので戻ります」

「明日になったら点検します」

と走行を続けるべきではありません。

トヨタの取扱説明書でも、油圧警告灯はエンジンオイル圧力の異常を示し、ただちに安全な場所へ停車して販売店へ連絡するよう案内されています。

参考:トヨタ取扱説明書「警告灯がついたときは」

数千円や数万円で直った可能性のある故障が、走行を続けたことでエンジン交換へ発展することがあります。

整備工場まであと3kmでも、油圧警告灯が点灯したままなら走らない。

まず安全な場所へ停車する。

エンジンを止める。

車種の取扱説明書を確認する。

販売店、整備工場、ロードサービスへ連絡する。

赤いオイル警告灯は、オイル交換を予約するためのお知らせではありません。

エンジンを壊す前に止めるための警告です。

「まだ普通に走れているから大丈夫」

そう感じる段階で止められるかどうかが、エンジンを守る分かれ道になります。

noteと週刊MHO通信を始めました

整備士として働いてきた約25年間の体験や、チームMHOを始めてから現在に至るまでの出来事を、noteで少しずつ書き始めました。

普段の自動車記事では書ききれない、修理現場での経験、仕事への考え方、独立するまでの道のりなども残していく予定です。

noteはこちら

また、Substackでは「週刊MHO通信」を配信しています。

GoogleやSNSのアルゴリズムに左右されず、読者の方へ直接届けられる場所として、毎週1回を目安に更新していきます。

ブログとは少し違った話も書いていきますので、よろしければ無料購読をお願いします。

週刊MHO通信はこちら

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする