オイル漏れなのに拭いただけで車検に通った?修理が必要な「漏れ」と「にじみ」の違い

車検の見積もりを取ったところ、

「エンジンからオイルが漏れています。修理しないと車検に通りません」

と言われた。

修理費用は約10万円。

ところが、別の整備工場へ持っていったら、付着していたオイルをきれいに清掃し、そのまま車検に通った。

こんなことが起きたら、どちらの整備工場が正しいのか分からなくなると思います。

最初の工場は、必要のない修理でお金を取ろうとしたのか。

それとも、後の工場がオイル漏れを隠して車検を通したのか。

そもそも、オイル漏れは拭き取れば車検に通るのでしょうか。

結論からいえば、オイルが付着している場所を清掃すること自体は、漏れている場所や進行具合を確認するために必要な作業です。

しかし、清掃して見えなくなれば故障が直るわけではありません。

大切なのは、それが今すぐ修理すべき「漏れ」なのか、経過を観察できる程度の「にじみ」なのかを判断することです。

オイルが付いているだけでは原因が分からない

エンジンの下をのぞいたら、オイルで黒く汚れていた。

これだけでは、どこから漏れているのか分かりません。

オイルは重力で上から下へ流れます。さらに走行風を受けるため、漏れた場所から離れたところまで広がることがあります。

例えば、エンジン上部のカバー付近から少量にじんだオイルが、エンジン側面を伝ってオイルパンまで流れていたとします。

下から見れば、オイルパンから大量に漏れているように見えるかもしれません。

過去のオイル交換時にこぼしたオイルが残っていることもあります。

以前修理した漏れの跡を、きれいに清掃していなかった可能性もあります。

こうした状態で、付着している場所だけを見て部品交換を決めるのは危険です。

まず汚れを清掃する。

エンジンを始動する。

しばらく暖機する。

必要に応じて試運転する。

そして、どこから新しいオイルが出てくるのかを確認する。

清掃には、漏れを隠すためではなく、発生源を見つけるための意味があります。

「にじみ」と「漏れ」はどう違う?

一般的にオイルにじみとは、ガスケットやオイルシールの周辺が湿っているような状態です。

触ると油分は付着しますが、すぐにしずくとなって落ちるほどではありません。

年数が経過した車では、ゴム製のガスケットやオイルシールが硬くなり、接合部分に薄くオイルが付着することがあります。

一方、オイル漏れは、液体が流れた跡がはっきり残っていたり、しずくができたり、駐車場所へ垂れたりする状態です。

ただし、「にじみなら絶対に修理不要」「垂れていなければ問題ない」と単純に決めることはできません。

にじみでも、漏れている場所によって危険度が変わるからです。

排気管の近くへオイルが流れていれば、焦げた臭いや煙が発生し、状況によっては火災の原因になる可能性があります。

補機駆動ベルトへ付着すれば、ベルトが滑ったり劣化したりすることがあります。

オルタネーターへ流れ込めば、発電不良につながるかもしれません。

少量に見えても、すぐ下に重要な部品があれば早めの修理が必要です。

何の液体が漏れているかも重要

車から漏れる液体は、エンジンオイルだけではありません。

ATFやCVTフルード。

トランスミッションオイル。

デファレンシャルオイル。

パワーステアリングフルード。

ブレーキフルード。

冷却水。

燃料。

エアコンの排水。

それぞれ危険度が違います。

エアコンを使用した後に透明な水が車体の下へ落ちているだけなら、通常は故障ではありません。

しかし、ブレーキフルードが漏れている場合は話が変わります。

ブレーキの油圧が正常に保てなくなるおそれがあるため、様子を見るような故障ではありません。

燃料漏れも火災につながる危険があるため、すぐに対応が必要です。

パワーステアリングフルードが漏れて減少すれば、ハンドル操作が重くなったり、ポンプが損傷したりする可能性があります。

色だけで判断するのも難しい場合があります。汚れたオイルや冷却水は、新品時とは違う色になっていることがあるからです。

漏れている場所、臭い、粘度、液量の変化などを合わせて確認する必要があります。

車検に通れば修理しなくていい?

自動車検査では、下回りからエンジン、ブレーキ、動力伝達装置、燃料装置などの状態が確認されます。

自動車技術総合機構も、下回り検査でエンジンのオイル漏れ、ブレーキの液漏れ、燃料漏れなどを確認すると案内しています。

参考:自動車技術総合機構「第4ブロック・下回り検査」

ただし、車検はその時点で保安基準に適合しているかを確認する検査です。

今後2年間、オイルが一滴も漏れないことを保証するものではありません。

清掃後に検査して明らかな漏れが確認されず、ほかの部分にも問題がなければ、その時点では検査を通過する場合があります。

しかし、内部では劣化が始まっていて、しばらくすると再びにじんでくる可能性があります。

つまり、

「車検に通ったから修理不要」

ではありません。

「現時点では直ちに高額修理をしなくてもよいと判断された」

という場合があるだけです。

清掃後の再点検までが大切

オイルの付着を清掃して様子を見るなら、そのまま忘れてはいけません。

数日後、数週間後、または次のオイル交換時などに再点検する必要があります。

どのくらいの期間で再び湿ってきたのか。

しずくになるほど進行しているのか。

オイル量が減っていないか。

駐車場所に跡が付いていないか。

焦げた臭いがしないか。

こうした変化を確認することで、漏れの進行速度が分かります。

清掃した翌日にオイルが流れ出してくるなら、早めに修理した方がよいでしょう。

数か月経っても薄く湿る程度で、液量もほとんど変わらないなら、定期的に確認しながら乗れる場合があります。

ただし、判断は車種や漏れている場所によって変わります。

なぜオイル漏れ修理は高いのか

オイル漏れの修理は、交換するガスケット自体はそれほど高くなくても、工賃が高額になる場合があります。

数百円から数千円のゴム部品を交換するために、周囲の部品を大量に取り外さなければならないことがあるからです。

エンジンの奥にあるオイルシールなら、トランスミッションを取り外す必要が出る場合もあります。

部品代は2,000円なのに、修理代は10万円を超える。

ユーザーからすれば納得しにくい金額ですが、修理費用の大部分が分解と組み立ての工賃ということがあります。

だから整備工場も、軽いにじみを見つけたからといって、すべてをすぐ修理するわけではありません。

車の年式。

走行距離。

漏れの量。

漏れている場所。

今後何年乗る予定なのか。

修理に必要な費用。

これらを考えて、すぐ直すか、経過を見るかを判断します。

二つの工場で判断が違う理由

同じ車を見ても、整備工場によって提案が変わることがあります。

一方の工場は、今後漏れが悪化する可能性を考えて、車検時に修理しておく方が安心だと判断した。

もう一方の工場は、現在は軽いにじみで、清掃して経過を確認すればよいと判断した。

どちらかが必ず間違っているとは限りません。

問題は、説明が足りないことです。

「オイル漏れがあります。10万円です」

これだけでは、ユーザーは判断できません。

どこから漏れているのか。

現在はにじみなのか、滴下する漏れなのか。

放置すると何が起きるのか。

今すぐ修理が必要なのか。

清掃して再点検する選択肢はあるのか。

車検の合否と関係する状態なのか。

このあたりを聞いてみることが大切です。

できれば、リフトアップした状態や撮影した写真で、実際の場所を見せてもらうと分かりやすいでしょう。

「拭いただけ」は修理ではない

オイルを拭き取って車検に通ったとしても、それで故障が直ったわけではありません。

汚れを落とすことは診断の第一歩です。

清掃後に新しい漏れが出るか確認し、進行速度や危険性を判断し、必要なら修理する。

そこまで考えて初めて、適切な対応になります。

反対に、わずかなにじみを見つけただけで、必ず高額修理をしなければならないとも限りません。

車検に通るかどうか。

安全に乗れるかどうか。

今すぐ修理が必要かどうか。

この三つは、似ているようで別の問題です。

オイルが付いているから即10万円。

拭いて車検に通ったから今後も放置。

どちらも極端です。

大切なのは、漏れている液体の種類、場所、量、進行速度を確認することです。

そして様子を見ると決めたなら、定期的に再点検すること。

オイル漏れは、拭けば直る故障ではありません。

しかし、拭いてからでなければ、本当の状態が分からない故障でもあるのです。

あまりにも広範囲な場合、洗浄してオイル漏れ止め剤をいれるという手段もあります。全部は止まらないでしょうけど、ある程度ピンポイントで漏れてくるところだけを確認するためにも有効です。

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